「ハッカー」のためのベイエリアガイド

(注)本ガイドは「A "Hacker's" Guide to the Bay Area」を大西洋平(@legoboku)が翻訳したものです。翻訳原稿はGitHub上に公開しています。翻訳の不備については訳者にお知らせください。


本ガイドの対象読者はサンフランシスコ・ベイエリア(特にサンフランシスコもしくはシリコンバレー)に移住したいと思っている「ハッカー」です。本ガイドは私のライフスタイルを反映したものになっています(男性、独身、技術的な仕事に専念、貯蓄、ただ健康に関心あり)。「ハッカー」にとって重要だとみなされるものにフォーカスします。

もっとディスカッションしたい方はこちらを参照ください。

目次

(歴史を少しと)地理について

サンフランシスコ・ベイエリア(一般的にベイエリアとして知られている)はサンフランシスコとサンパブロ河口に囲まれた北カリフォルニア(NorCal)の一地域です。その名前は最も有名な都市サンフランシスコ(聖フランシスにちなんだ名前)に由来しています。

ベイエリアには約6,984平方マイル(18,088平方キロメートル)の地域に約715万人が住んでいます。

ベイエリアには9つの郡があります。北にマリン、ナパ、ソラノ、東にコントラ・コスタ、アラメダ、サウスベイ にサンタクララ、半島にサンフランシスコとサン・マテオです。

ベイエリアの地図

シリコンバレー

シリコンバレーはサンフランシスコ湾の南部を指す歴史的な名前です。特定の町や郡ではなく、とある広い地域を指します。

中心地はサンタクララバレーです。何年もかけて他の周辺地域がシリコンバレーに含まれるようになりました。近年、シリコンバレーはサンマテオからサンノゼまで及ぶ地域に広がっています。より最近では、シリコンバレーの地域として一般的にサンフランシスコも含まれるようになっていますが、私は区別しています。

シリコンバレー地図

シリコンバレーで最も重要な都市は以下です。

しかし、スタートアップ、中規模以上の会社は事実上ベイエリアのどこにでもあります。そして、家賃の高騰に伴い、元々のシリコンバレーから外へ外へと企業が押し出されています。

シリコンバレーには2つの主要な交通チャネルがあります。

企業はこれらの交通動脈(特にカルトレイン)から近い場所にいようと試みています。

サンフランシスコ

サンフランシスコは約46.9平方マイル(121 平方km)の面積があり、人口825,863人(2012年の人口調査)が住んでいます。

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主要な交通動脈は以下の通り。

街には 100 個の地区があります。技術的な活動は SoMa(サウス・オブ・マーケット)とミッション地区に集中しています。ただし、サンセット地区のコーヒーショップでさえスタートアップの会話を聞くことができます。

Twitter, Quantcast, Opentable, Salesforce, Yelp, The Climate Corporation, Zynga, Dropbox そして Uber は市内に留まることを選んだ技術企業の例です。

イースト・ベイ

シリコンバレーやサンフランシスコと比較すると、イースト・ベイは技術やスタートアップに関連する活動はあまり見られません。ただ、興味深い点はあり、サンフランシスコやシリコンバレーの家賃が急激に高騰した場合に企業が定住先を探し始めることを決意するかもしれません(これはすでに起きています - 人々はオークランド・エメリービルやバークレイに移動しています)。

バークレイはイーストベイで最も関係のある街です。バークレイはカルフォルニア大学バークレイ校(有名な卒業生:ゴードン・ムーア、エリック・シュミット、スティーブ・ウォズニアック、ダニエル・カーネマン)の本拠地です。

オークランドは、Ask.com や Pandra、オークランドに移るその他のスタートアップの本拠地であるにもかかわらず、技術的な街としては知られていません。

生活

ベイエリアでの生活は非常にお金がかかります。ベイエリアの一部の地区は生活費の点でマンハッタンに匹敵します [1][2]トーストが4ドルもします

プログラマの年収は通常、7万から15万ドルの間です(経験、企業のタイプ、技術などによります)。

私がシリコンバレーに着いて一番驚いたことは、とても田舎だったことです。マウンテン・ビュー、パロ・アルト、サニーベールは完全に田舎です。広い庭付きの家があり、通りに人がほとんど歩いていない光景をよく見かけます。皆さん、自動車を運転します。技術系の企業は大きな産業地区に所在しています。あらゆる種類の都会的な活動はカルトレイン近くのメイン通りで行われます(例えば、マウンテン・ビューのカストロ・ストリート、パロ・アルトのユニバーシティ・アベニュー)。一方、サンフランシスコはみなさんが街に期待されている通り、都会です。

住居

シリコン・バレーやサンフランシスコでの生活はお金がかかります。非常にお金がかかります。

Rent Affordability Gap in San Francisco

そして、アメリカ出身でない方から見ると長期の賃貸を取得するプロセスは奇妙に感じるかもしれません。長期賃貸の市場は競争が激しいだけでなく、満たすべき要件のリストは膨大です。それは若者が見知らぬ人と部屋をシェアをする理由でもあります。

住む場所を見つける

住む場所を見つけるための最適なツールは滞在期間によります。

短期滞在(数日から数ヶ月)であれば、Airbnb がおそらく最適です。1泊は約40ドルからです。現実的には50から60ドルになります。モーテルルームの価格 1泊 100 ドルと比較してみてください(ただし、複数人で宿泊する場合は費用をシェアできます)。

中期(数ヶ月)から長期(最長1年)の賃貸であれば、Craiglist が最適です。この場合、費用は場所に大きく依存します。レッドウッドシティー、サニーベール、サンノゼやイーストベイのようなやや”最先端”ではない地区であれば家賃は500ドル(1部屋)からです。マウンテン・ビュー、パル・アルトやサンフランシスコでは、700ドル以下の部屋を見つけられれば幸運でしょう。ただし、公共料金(水道、電気、ガス、インターネット)に追加で費用が発生することは忘れないでください。

場所を見つける制約や安くない家賃を考えれば、多くの人がホームレスであったり、トレーラーで住む決意をしている理由はお分かりいただけると思います。

”ハッカー”にとっての代替手段として”ハッカー・ホテル”が知られています。これは比較的”新しい”現象(2007年から)ですが、ベイエリア周辺では人気になっています。訪問者は通常短期滞在なので、ムード・スピリット・環境は家と時期によって変わります。Airbnb で約50ドルで2段ベッドを見つけることができるでしょう。

仕事

もしあなたが大きな技術系の企業で働くためにシリコンバレーに来たのであれば、本社が掲載された地図をご覧ください(Googleのように企業によってはベイエリア周辺に複数のビルを点在させている点に注意してください。Yahoo のようにオフィスはサンフランシスコにあったり、シリコンバレーにあったりします):

シリコンバレーの地図

もしあなたが YC や 500 Startups に受け入れられた起業家であれば、おそらく彼らのオフィスの近く、または少なくとも渋滞に巻き込まれることなくすぐに行ける場所に滞在したいでしょう。YC と 500 Startups のオフィスは両方ともカルトレイン近くのマウンテン・ビューにあります。

YCと500 Startupsのオフィス

もしあなたが一人で経営したり、フリーランスだったり、単に調査をしたり、仕事をする社交場が必要で、固定の机が不要であれば、コワーキングスペースが丁度良いでしょう。

シリコンバレーでは Hacker Dojo がその場所であることは何の疑問もないでしょう。会員に対して24時間365日開放されており、会員費用は月100ドルです。キャンセルしたい場合は次の支払いの2〜3日前に予告できます。

サンフランシスコ市内のミッション地区にある Noisebridge はハードウェアを対象としたハッカースペースです。少しフォーマルな場所が SoMa にあるPRISOMAです。オープンスペースの会員費用は1月300ドルで、退去の1ヶ月前に通知が必要です。他の(より高い)代替手段は例えば WeWork もあります。

食事

もしあなたが食べ物が無料の会社(Google, Facebook, など)で働くのであれば、おそらくこの節を読み飛ばしても問題ないでしょう。

もし自炊するのであれば、お金を節約でき、おそらく良い食事ができるでしょう。次の節ではどこで食材を買うべきかをお伝えします。

外食する場合、選択肢は豊富にあります。豊富な種類の食べ物を食べることができます。インド料理、パキスタン料理、アメリカ料理、メキシコ料理、中華料理、タイ料理、ベトナム料理、日本料理など。最も安い価格のものはサンドイッチの5〜6ドル、ディナーに15ドル(チップを15〜20%支払うことに注意してください)です。シリコンバレーとサンフランシスコの価格はそれほど変わらず、シリコンバレーの方が少し安い程度です(イーストベイの方がより手頃な印象があります)。

食べる場所を探す場合、検索やフィルタリングがクソであっても Yelp が最高のツールでしょう。希望の場所を検索し、費用やレーティングでフィルタリングしてください。

食料雑貨類

ベイエリアは食べ物に敏感な街です。食料品店に行くと「オーガニック」と「ローカル」の両方がもしくは片方のラベルをよく見かけるでしょう。

大きな食料品店チェーンが Safewey (24時間365日営業)、Trader Joe’s、 Whole Foods、 Costco そして Walmartです。その地域に根ざした地方の食料品店もあります。BYOB (Bring Yout Own Bags; 自分の買い物袋を持ち込む)を忘れないで下さい。代替手段としてはオンラインで買うことです。ただし、節約したくない場合に限ります。 Instacart もしくはお店のウェブサイトは良い選択肢です。

Safeway のお店に行く場合、Safeway カードをもらって下さい。カードを持っている場合、割引を受けることができます。

交通手段

サンフランシスコ ↔ シリコンバレー

カルトレインはサウスベイと半島をサンフランシスコにつなぐ鉄道システムです。サンノゼからSOMA地区(4番通りとKing)をつなぎます。幅広く使われており、ラッシュ時には常に満席です。いくつかの列車は超特急列車であり、どの駅にも止まりません。終電は日曜日を除き、9PM頃に出発し、10PM頃(北端)または深夜(南端)に着きます。

サンフランシスコ ↔ イーストベイ

BART は(主に)サンフランシスコとイーストベイをつなぐ鉄道システムです。始発駅はミルブレとサンフランシスコ国際空港(SFO)であり、イーストベイの端(フレモント、ダブリン/プレザントン、ピッツバーグ/ベイ・ポイントとリッチモンド)までつなぎます。サンフランシスコ市内の駅は市の東側のみをカバーしています。

ベイエリアの交通量は一見奇妙に移るでしょう。午前中に市内から郊外へ、午後に郊外から市内へ交通渋滞があります。これは多くの人が市内に住み、仕事のため半島/サウスベイに通勤しているためです。

サンフランシスコを散策するには MUNI を利用できます。MUNI は市内の主要公共交通システムであり、バスと都会的な鉄道で市内の多くをカバーしています。不幸にも最も信頼出来るシステムではなく、不規則に遅延することはよく経験します。料金は2ドルです。

私の好きな交通システムは自転車です。サンフランシスコには多くの自転車道があります。Google Mapにはまあまあの自転車道オプションがありますが、坂の険しさは考慮されていないようです。この計算機はその点で役に立つかもしれません。

Claiglistで自転車の掘り出し物を見つけたり、Bike's Direct からオンラインで買うこともできます(唯一の欠点は自分で組み立てるか、自転車店に70ドル程度を払って組み立ててもらわなければいけないことです)。もし生活のすべて(食品雑貨を運ぶなど)を自転車に依存している場合、ラックやラケット、もしくはAmazonのケースを手に入れて下さい。おっと、ちゃんとしたロック(Kryptonite Kryptolok; 訳注:Kryptonite Kryptolockは自転車用ロックの商品名)を買ってすべて正しく施錠されていることを確かめてください。

もし、BARTかカルトレインに乗り(そしてiOSデバイスを持っているなら)、スケジュールに(Appleに買収された)Embarkを試して下さい。また (MUNI で使える)Clipper Card も手に入れ、再課金しなくてもいいようにクレジットカードとリンクすると良いでしょう。

MUNI があまり信頼できないこと、BART は街全体をカバーしておらず、カルトレインの終電は早い時間です。そのため Uber、Zipcar、Lyftのような乗車シェア / 個人タクシー交通システム・サービスは人気があります。

もしサンフランシスコに行くのであれば、最後の手段として車を使って下さい。交通量以上に、駐車場が悩みの種です(市内の駐車料金もお金がかかります)。見つけるのも困難ですし、駐車場は非常に高価です(10〜20ドル)。

通信

アメリカのモバイルプランは、私が使っていたものに比べて少し高いです。大手の通信キャリアは Verizon、AT&T、T-Mobile そして Sprint です。友達の体験談によると、AT&T と Verizon は非常に万能です。T-Mobile はいくつかの場所で通信が不安定です。Sprint についてはあまり把握していません。

大手キャリアのネットワークをを使う再販業者は多くあります。私は再販業者の一つ Straight Talk を利用しています。Straight Talk は無制限のテキストと音声(アメリカのみ)、”無制限”のデータを提供しています(実際には悪用すれば制限、あるいは完全に停止されるため注意してください)。月45ドルを値切るのは非常に困難です。自分のデバイスを持ち込まなければいけません。ベイエリアでは、Straight Talk は T-Mobile のネットワークを使っています。国際電話には Skype を使ってください。

私は今のところ有線のインターネット接続を利用したことはありません。そのため有線インターネットについてはあまり説明できません( Sonic.net を推薦する人はいます)。

人生は生活や活動などのため

皆さん運動すべきでしょう [1]。以下のような選択肢があります:

Points of interestが必要ですか?市内にはより観光向けの場所があります: ツイン・ピークス、ゴールデン・ゲード、アルカトラズ、SoMA、など。CityPASS を入手してください。より技術的な情報源が必要であれば、ポールのリストを参照してください。

最も経験のある人から技術を学び、あなたの周辺にはいない新しい人と出会いたい(もしかしたらあなたは一人で来て、知り合いがいないかもしれませんね)ですか?そうであれば技術系のミートアップに参加してください。あなたが知っている、もしくは学びたい技術をもとにグループを選んで下さい。技術系のオフィスを訪問することもできます。そして多くのミートアプは食事を用意してくれます。Airbnb のようにMeetup のプラットフォーム外部のミートアップのスポンサーをしている場合もあります。彼らにとってこれはブランドの構築や人材を獲得する上で良い方法です。

私は、ハッカソン [1] [2] は強制された環境(時間が制限されており、客観的かつ多才であることを強制されます)の中で新しい概念や技術を試す手段として優れている事に気づきました。(TIP:あなたの能力を開発する上でも素晴らしい方法です)もしあなたが食べ物にうるさくなるために学んでいるのであれば、興味深い賞品があります。もちろん、無料の食べ物です!大きなハッカソンには無料のスワッグを持っているスポンサーがついています(例えば、Tシャツもあるので、もう1週、洗濯を遅らせることができます)。

買い物

もし無料スワッグの企業がTシャツからパンツまで提供してくれればク―ルでしょう。非常に助かります。そういうことはあまりないので、多くの場所で手頃な価格の服を買うと良いでしょう。市内、イーストベイ、Ross Dress For Less に倹約用の小売店があります。リーバイスのようなブランド店でも貧乏なハッカー向け価格の商品を扱っています。

結論

もしあなたが稼いでいないハッカーであるなら、資金の回転率は最小化したいでしょう。最大の費用は家賃と食費です。シリコンバレーか市内に住むかによって車が必要になるかもしれません(シリコンバレーに住む場合、車のない生活は困難です)。

シリコンバレーでは、月に2000ドル以下(家賃 + 食べ物 + ガソリン + Hacker Dojo の会員費用)を使っています。市内では、主に外食していたため、最初は同じくらいの資金回転率でした。自転車に先行投資して将来の交通費を避けるべきでしょう(良い運動にもなります)。マーケットで買って調理することで食費(1日約20ドル)を半分にできました。

これで以上です。何か TIPS を学んだり、思い出したらこの記事を更新します。皆さんのお役に立てれば幸いです。

着想日: 2013年9月17日